Black Life Non Sugar

またどこかで

療養中のドストエフスキー

こんにちは。堀江くらはです。

ようやくブログを更新できる環境が整ったので本日から再開します。毎日更新できるように頑張りますので、これからもよろしくお願いをいたします。

 

療養中は本ばかり読んでいました。実家にあるのはすでに読んだ本ばかりでしたが、再読するのもたまには悪くないと思い、カフカカミュドストエフスキーなどの実存主義文学と呼ばれている作家たちの作家を読み漁っていました。

そうした作品群の中で最も好きなのがカフカであり、代表作「変身」に関しては以前から何度かブログで書いてきました。しかし、カフカ以外の作家については殆ど触れてこなかったので、今回は実存主義という言葉ができる前の作家であり、後に勝手に実存主義の作家にされたドストエフスキーの「地下室の手記」について書こうと思います。

 

ドストエフスキー文学史を語る上で欠かせない作家のひとりでしょう。「カラマーゾフの兄弟」や「罪と罰」などの作品は世界中で今も尚読み続けられています。また、彼はカフカにも大きな影響を与えた作家でもあります。

 

ドストエフスキーの中でも僕が好きなのは「罪と罰」と「地下室の手記」の二つです。前者は有名なので読んだこともあるという方は多いでしょうが、後者は新潮文庫から出版されている割にマイナーです(というより、ドストは大作二つばかりが読まれている印象があります)。療養中は短い作品ということもあり、このマイナーな地下室の手記を読んでいたのですが、やはりこの作品はいい。巨匠、ドストエフスキーの人間らしさが前面に出ている作品です。

 

地下室の手記 (新潮文庫)

 

この作品を一言でいってしまえば「ダメ人間の自意識」となるでしょう。どこか太宰の人間失格を思わせる作品ですが、太宰よりもより自意識が全面にでています。太宰がピエロを演じている人だとしたら、ドストエフスキーはそれすらやめてしまった人なのです。

 

この作品に対する評価は二つに割れます。

1.主人公を身近に感じ、親近感を覚えながらページをめくることができた。

2.主人公の自意識過剰っぷりに笑ってしまった。

 

2の評価がでるくらいに自意識過剰な文章なのです。

僕は1の評価を下した人間でした。僕の勝手な予想ですが、カフカが好きという人は恐らくこの作品に親しみを覚えることでしょう。

 

ドストエフスキーはその評価からは想像できませんが、結構なダメ人間だったらしく、賭博に嵌って貧乏生活を余儀なくされるほどでした。そんなドストエフスキーだからこそ、貧しき人々の心を書くのに長けていたのかもしれません。

 

さて、久しぶりに読んでの感想ですが、やはり療養中に読むのにはいい本でした。今は体調も回復しているのですが、悪かった時は本当に不安ばかりで……「へっ! へっ!」とも言えぬ有様。そんなときに読むと登場人物と自分を重ねることで孤独が解消でき、作品にどん底を見せられることによって「まだ自分が体調さえよくなればなんとかなるんだ!」という気分になれました(これはカフカでも同じことを言いましたね)。

 

カフカといい、ドストエフスキーといい、生き辛さを感じている人に読んでもらいたい作家ですね。

 

地下室の手記 ─まんがで読破─

軽めの漫画版もあるようですね。

 

 

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