グランジロックとボーカロイド
グランジロック
グランジ (Grunge) とは、ロック音楽のジャンルのひとつ。「汚れた」、「薄汚い」という意味の形容詞 "grungy" が名詞化した "grunge" が語源。1990年代にアメリカ・シアトルを中心に興った潮流であり、オルタナティヴ・ロックの一つに位置づけられる。ニルヴァーナやパール・ジャム、サウンドガーデンといったバンドがメジャーシーンで成功を収めたことで、ヘヴィメタルが席巻していた当時のアメリカのロックチャートを塗り替え、世界的なブームとなった。(wikiより引用)
グランジはもともとマイノリティのためのものだ。80年代、メインストリームはマイケルジャクソンを代表とするポップスと、BON JOVIなどのHR/HMだった。キラキラしたパフォーマンスと、技術偏向のギターサウンドに嫌気がさした少数派によって立ち上げられたのがグランジロックだ。Blag Flagに始まり、Sonic Youth、Mud Honey、
Sound Garden、Pixiesなどのバンドの活動が地盤を固めていった。そしてNirvanaが名盤、Nevermindを発表し爆発的なブームになった。
この流れは現代のアニソン、ボカロソングの流行と重なる。AKB48やEXILEを代表とする日本のメインカルチャーは、歌唱力よりもパフォーマンスや歌い手の顔、握手券などの商業的な要素によって流行した。そんな流れに嫌気がさした人達は一定数いたのは間違いないだろう(僕もその一人だったが、高校生の時すでに洋楽、特にグランジに嵌っていた)。そんな人の逃げ場になったのがロキノン系やビジュアル系だったが、これらはとっつきにくさ(音楽性とファン層)によって一部の層を取り残してしまった。彼らは、かつてポップソングが好きになれず、その後にでてきたHR/HMにものれなかった人たちと同じような境遇に立たされたのだ。
そんな中登場したのが初音ミクだった。自由に作曲でき、歌わせることができるソフトの流行を助けたのはニコニコ動画だった。自分で作った曲を手軽に世の中へ発表できる環境がそこにはあった。ボーカロイドが登場するやいなや、様々なジャンルの曲が発表され、今まで音楽業界にうんざりしていた人たちが初音ミクを聴きはじめた。
その影響力は時と共に増していき、今では黒うさPの曲「千本桜」がトヨタのアクアのCMに使用される程にまでなった。グランジのようにボーカロイドもメインカルチャーになろうとしているのかもしれない。
このようにグランジブームとボーカロイドの流行は似ているが、ボーカロイドがグランジの様にメインカルチャーになるのは難しいだろう。その活動の中心がネットにあるということや、実際の人物としてボーカロイドが存在しないことなど理由はたくさんある。それでもボーカロイドはどんどん現実世界のメディアに露出していくことは間違いない。
しかし、ブームには終焉はつきものだ。グランジはNirvanaのボーカル、カート・コバーンの自殺によって沈下してしまった。ではボーカロイドの終焉はどのようなものになるのだろうか? 当然のことだが、ボーカロイドは死なないし歳をとらない。プロではない人たちが作曲をし、それを発表したいという欲求も尽きるものではない。だからボーカロイドの終焉は聴き手が飽きることによってでしかもたらされない。素人がつくった曲よりもリスナーが好む音楽をプロが売り始めた時、音楽の復活こそがボーカロイドの終焉なのかもしれない。
一度は終わったグランジだが、音楽業界はブームを再燃させたいと思っているらしい。今年はカートの死から20年が経つということで、ロック系雑誌は「今年はグランジの年になるかもしれない」と言っている。この年を狙ったのかは分からないが、Pixiesも4月に23年ぶりとなるニューアルバムを発表し、その少し前にカートの死後に活躍したBeckもアルバムをだした。サマーソニックにはPixiesの他に、ガレージロック・リバイバルのArctic Monkeysが出演することが決まっている。
果たして今年の洋楽シーンはどうなるのか、そして邦楽シーンがどう変化するのかは見ものである。個人的には第二次グランジブームがおき、邦楽でもその影響を受けたバンドが流行してくれればいいと思うが、これは高望みしすぎだろうか?
そのPixiesのニューアルバム。彼ららしくていいアルバムだった。今もこれを聴きながら記事を書いている。
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Nirvanaの名盤、名曲Smells Like Teen Spiritが収録されているのもこれ。
次はひたすら音楽を紹介するだけの記事にしたい。