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堀江くらはが一筆書きするブログ

息抜き中心。一発で書いてドーン。過度の期待はしないでください。

道徳が点数化した教室で

小学校の時、僕のクラスは道徳が数値化していた。というと、なんのことだかさっぱり分からないだろう。ある過去のネット番組を見ていたら「道徳の数値化」という言葉が出てきて、僕は当時のことを思い出した。今思えば、結構なトラウマだ。

僕の担任の先生は革新的な人で、僕達の行動を全て点数で評価した。誰かがいいことをすればプラス、悪いことをしたらマイナスの点数をそれぞれ与え、学級班でその点数の合計を競わせた。ハリーポッターの「スリザリン、10点(Byスネイプ)」というシーンを想像してくれればいい。あのまんまのことをクラスで実践した。

 

掃除を頑張ればプラス、喧嘩をすればお互いマイナス、先生にいい挨拶ができればプラス、友達への陰口がばれたらマイナス……といった風にありとあらゆる行動に点数がつけられた。その点数は毎回先生の裁量に任されていて、とんでもないことをして先生を怒らせたらその分大きなマイナスをくらった。これはもう、道徳的行動の採点制度といってもいいだろう。

そう、僕は道徳が点数化したクラスに属していた。

 

週ごとにビリの班が次の週のトイレ掃除になった。みんなトイレ掃除なんて嫌だから、真剣にプラスが貰える「いい人」になるよう努力した。

ここまで聞くと結構いい教育方法に見えるが、残念ながらそうはいかなかった。中にはこの先生のやり方を今でも褒める友人もいるけれど、僕はそうは思わない。なにせ僕にとってはトラウマでしかないのだから。

 

クラスが変わった4~5月あたりまではみんな「いい人」を真面目に目指していたと記憶しているが、皆、だんだんとこのゲームを歪めはじめていた。

最初に先生への告げ口が増えていき、クラスのジャイアンみたいなやつが「あいつ掃除真面目にやっていなかった」と先生にいうと減点されるような状態がうまれた。そいつも掃除なんて真面目にやりもしない癖に、敵の班を蹴落とすためにわざわざ告げ口をしたのである。クラスで力のある奴らはみんなそういうことをやった。しかし、彼らに文句を言う人は誰もいなかった。文句をいったら暴力が飛んでくるのである。子供にとって暴力とはあらゆる恐怖の頂点にあるものだ。だからどんな不正も暴力によって正当化されてしまうのだ。

 

そういうジャイアンみたいなやつが出てくるともう一つ辛い出来事が起きるようになる。減点された人に対する班内での批判だ。最初のうちは「ふざけんなよー」くらいで済んでいたが、いつしか僕みたいになんども問題を起こす生徒は「もう学校来るな」といわれるようになった。僕はそれでも学校に行ったが、中には不登校気味になる子もいた。

 

っで、最後の方になるといじめられっ子がしてもいない悪いことを告げ口されるようになった。僕はいじめの被害にはあっていなかったけれど、僕と同じ班の子が人を殴っただとか、授業中シャーペンを使ったとかいう作り話をされ、みごとに減点をくらっていた。

 

こうなると僕は人間不信みたくなってしまい、学校に行きたくなくなり、小4の身で心療内科にかかるようになった(実は生まれつきの病気でカウンセリングは小1から受けていたが。あ、今はもう治りました)。でも、クラスの採点制度については医者に言うことができなかった。クラスの多くの生徒がこのシステムを面白いゲームだと評価していたから、それについていけない自分が駄目だと思っていたのだ。医者の前でも僕は駄目な自分を晒せない、自意識過剰な子供だった。

 

そして5年生になり、クラスの担任が変わった時、僕は心底ほっとしたものだ。ただ、クラスメイトが「◌◌先生の採点ゲームは楽しかったよねー」と言っていたのが今でも恐ろしくてたまらない。

 

しかし、当の先生は自分の教育法が意図していない方法にいっているのに気が付かず、聞いた話だと定年退職までこの方針を取り続けていたらしい。考えるだけでぞっとする。

恐らく先生は子供を純粋なものとしてとらえすぎていた。確かに子供は純粋だけれど、それは先生の考えているような与えられたゲームを与えられた通りに楽しむ純粋さではない。

子供はゲームに純粋に勝とうとする。そう、ルールを歪めてさえも。その残酷さが分からないから子供は純粋なのだ。

 

あの頃の経験は今でもトラウマになっているし、そのせいで中学卒業まで人間関係がうまく構築できなかった。僕が見たネット番組の内容とはあまり関係ないけれど、とにかく思い出したから書いてみました。

 

一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

 

当時は監視社会みたいなもんだったなー。ということでこの小説をお勧めします。

監視社会モノの名作。ビックブラザーはあなたを見ている! 是非一読を。本当に面白い小説です。

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